理系パパのカメラ奮闘記

2児の父親。理系の視点でカメラを勉強します。

【物理編】画素数が多いイコール画質が良いではない。画素の数は増えるが1画素あたりの画質は落ちる

カメラの能力を表す指針として『センサーサイズ』とともによく『画素数』が持ち出される。広告でもホームページでも、それこそ量販店の店員でも画素数が多いイコール画質が良いということでアピールしている。

が、実は素数が多いイコール画質が良いではない。

 

ここでは各言葉の定義を整理しつつ、画質が良いにつながらないことを説明する。

 

素数とは画像を構成する画素の総数である。ピクセルと画素数は同義である

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素数をよく知らないまま言葉として用いている人もいるのではないだろうか。

上に絵で示したが、素数とは画像を構成する画素の総数である。ピクセルという言葉も時々聞くが言っていることは同じで、ピクセルと画素数は同義である。

ちなみにα6000は日本だと2430万画素に対し、海外だと24.3MP(メガピクセル)で表記されている。MPを見ても驚かないように。言っていることは同じである。

 

 

解像度は画素の密度を示す数値である。主な単位であるdpi(dots per inch)は1インチあたりの画素の数を示す

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解像度は画素の密度を示す。上に絵を示しているが、主な単位であるdpi(dots per inch)は1インチあたりの画素の数を示す。
ここで終わればいいのだが、実は世の中には誤解の生む表現がはこびっている。

ディスプレイ解像度として1940×1080、1024×748と表記されているのを見たことはないだろうか。これ、<密度>解像度と言いながら<総量>総画素数を示しているのだ。Wikipediaでも記載があるので興味があったら確認してほしい。嘘を言っていないのがわかるかと思う。

一方でプリンタやスキャナのカタログにはdpi単位で最高解像度が記載されているが、もはや人間の目には十分なスペックになってしまっているのでアピールポイントにはなっていない。

 

 

 画素数を増やすと画素の数は増えるが、1画素あたりの画質は落ちる

ここから物理的な検証に入る。

カメラによりイメージセンサーのサイズは決まっている。

素数を増やすということは1画素あたりの受光面積を小さくするということだ。

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例えばイメージセンサーの長さが10mmとする。画素の数を5個にした場合、1画素の長さは2mmとなる。一方で画素の数を倍に増やして10個にしたら1画素の長さは1mm、となる。2次元換算し事象を整理すると、画素の数を4倍にすると1画素あたりの受光面積は1/4倍になってしまうのだ。(実際は1セルがすべて受光素子(フォトダイオード)ではないため単純換算はできない)

 

光の明るさの表現として複数あるが、カメラの明るさの指標としては照度[lx]が適切である。この照度のSI単位はルクス(=lx)であるが、より物理現象を示すために等価のルーメン毎平方メートル(lm/m^2)を用いる。

光の強さ(総量)を面積で割るこの単位で推測されるのは、照度が物体に照射された光の明るさを示す物理値であることが推測できるし、実際にそうである。

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ここで1画素あたりの長さをa[mm]とし、照度をE[lm/m2]とする。1画素あたりの光の量は、単位面積あたりの光の量である照度に1画素の面積をかければよいので

1画素あたりの光の量 = 照度[lm/m^2] × 1画素あたりの面積[m^2]

          = E×a[lm]
 1画素あたりの面積が大きいほど1画素あたりの光の量が確保できる。つまり1画素あたりの面積が大きいほど受け取る光の量が増えるため、ノイズに強くダイナミックレンジをより確保できる設計が可能なのだ。逆に言うと、素数を増やすと1画素あたりの画質は落ちる。

 

このように画素数と1画素あたりの画質は排反事象となるため、以下に振る舞いを絵で示す。

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まとめ

この記事では物理学観点で画素数が多いイコール画質が良いではないことを示した。

あくまでも物理学観点なので、センサーそのものの進化をはじめとした細かい事象は検討条件から除外している。

 

なお画素数と1画素あたりの画質が排反事象となるということは、今度はどれだけ画素数が必要なのかという話が出てくる。

結論から述べると現状の画素数スマホやパソコンでの鑑賞には過剰であり全く不要であるのだが、それは別の記事で述べるとする。

 

  • 素数とは画像を構成する画素の総数である。ピクセルと画素数は同義である
  • 解像度は画素の密度を示す数値である。主な単位であるdpi(dots per inch)は1インチあたりの画素の数を示す
  • 素数を増やすと画素の数は増えるが、1画素あたりの画質は落ちる