【物理編】ピントが合っているとは? 被写界深度、許容錯乱円を理解しよう!
前回の記事でボケの要素を説明しました。
では逆にどのレベルまではボケていない、つまり「ピントが合っている」と判断していますか?
例えば以下の写真。ぱっと見狙い通り右目にピントが合っているように見えます。
しかし拡大してみると瞳に対しては若干前ピンであることがわかります。
このような微妙なレベルを人の主観に任せてしまうと物理学的な評価ができなくなってしまうのでピントが合っているように見える事象を言葉として定義しています。
ここからは順を追ってピントが合っているように見える事象を説明します。
- そもそもピントが合っている「ように見える」とは? ピントが合っているではないの?
- 許容錯乱円とは? 撮像面上でピントが合っているとみなす最大の円を許容錯乱円と呼ぶ
- 被写界深度とは? ピントが合っているように見える被写体側の距離の範囲のことである
- 被写界深度を操ろう!
そもそもピントが合っている「ように見える」とは? ピントが合っているではないの?
先ほどあっさりと記載してしまいましたが、ピントが合っているではなく、ピントが合っている「ように見える」状況となります。
物理学上、実像はある特定の距離でのみ結像します。
この実像を形作る条件のみピントが合うと定義してしまうと被写体が0.1mm
でもずれてしまったらピントが合っていないということになってしまいます。
しかし実際にはそのレベルでずれていても人間の目にはわからないので、ある特定の条件であればピントが合っているとみなしているのです。
ちょっとややこしいですが、考えてみれば納得です。
許容錯乱円とは? 撮像面上でピントが合っているとみなす最大の円を許容錯乱円と呼ぶ
いきなり「許容錯乱円」という言葉が出てきて驚いたかもしれませんが、順を追って説明します。
通常の書籍だと「被写界深度」を説明して「許容錯乱円」は後出しだったり説明なしだったりするのですが、ここでは物理的な観点で事象を追うため許容錯乱円を先に説明します。
まず完全にピントが合っている状況では、像は点として結像します。
しかし少しでも前後にずれると像は円として結像します。
この円として結像した場合に撮像面上でピントが合っているとみなす最大の円を「許容錯乱円」と呼びます。
この「許容錯乱円」が定義されると、結果的に次の項目で説明する「被写界深度」に関しても振舞がわかります。
なお、この「許容錯乱円」は出力する写真のサイズや画素サイズによっても変わるので、興味があったらgoogle先生に聞いてみてください。
被写界深度とは? ピントが合っているように見える被写体側の距離の範囲のことである
前項目で「許容錯乱円」を説明したので、作図から被写界深度が説明できます。
先に説明しますが、被写界深度とはピントが合っているように見える被写体側の距離の範囲のことです。
「許容錯乱円」は撮像面上の定義で「被写界深度」は被写体面上の定義ですので、それぞれがリンクしていることが想像つくかと思います。
では作図です。
許容錯乱円を基準に作図すると、自ずと被写界深度が導き出されます。前方側でピントが合っているとみなす範囲を前方被写界深度、後方側でピントが合っているとみなす範囲を後方被写界深度と呼びます。
ここでわかる特徴は被写界深度は前方は浅く後方は深いということです。なんでそうなのと言われても作図上も式上もそうなるので仕方ありません。
ちなみに集合写真で4列に並ぶような条件では2列目の顔に合わせるとよいといったような記事を見かけたことはないでしょうか? これはまさに被写界深度の前方が浅く後方が深い特性を知った上での記述です。
物理上の特性を知っておくことはカメラを操るうえでも少しは糧になります。まあ、ここまで攻め込むことは通常はありませんが。。
被写界深度を操ろう!
では被写界深度を決定する要素は何でしょうか?
前回の記事の繰り返しになるので作図は省略しますが、要素は3つです。
これは前回の記事(ボケの要素)から4.被写体と背景の距離を除いただけの事象になります。
適切な例がなくて申し訳ないのですが、被写界深度が浅い例と深い例を載せます。
このように被写界深度の違いにより受ける印象も異なりますし、何をどう撮影したいかによって被写界深度の設定も変わるかと思います。
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