【物理編】フルHDは約200万画素であり、写真のデジタル鑑賞を想定すると解像度は1/10となる
今回はカメラの画素数を追うことはもはや意味がないという話である。
テレビやスマホのフルHDは200万画素、4Kは約800万画素、8Kは約3300万画素である。
フルHDの解像度が1920×1080というのを目にした人は結構いるかと思う。これを単純に画素数に置き換えると1,920×1,080 = 2,073,000ということで約200万画素となる。
つまりフルHDの画素数だけでいえば、2007年に発売した初代iPhoneで事足りるのだ。
約2000万画素の写真をフルHDで映すと解像度が1/10に減らされてしまう
2019年現在画素数の中央値は2500万画素数程度だと思う。(マイクロフォーサーズが1800万、APS-Cが2200万、フルサイズが2000~4000万)。ここで簡単化のために写真の画素数を2000万とする。ということは写真の画素数が2000万に対してフルHDの画素数が200万であるため、約2000万画素の写真をフルHDで映すと解像度が1/10に減らされてしまう
紙に印刷する場合、L版は約150万画素、A4は約900万画素、A3は約1400万画素が必要である
値はカメラのキタムラさんを参考にした。手順としては基準となる解像度<dpi(Dots Per Inch)>および紙の面積である。
まずは解像度であるが、プリントしても細かさの違いが判らないのが300~350[dpi]とのこと。今回の算出では300[dpi]を用いる。
L版(89[mm]×127[mm])を例にとると300[dpi]
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横:89[mm] / 2.54[inch/mm] × 300[dpi] = 10511[dots]
縦:127[mm] / 2.54[inch/mm] × 300[dpi] = 15000[dots]
計:10511[dots] × 15000[dots] =157665[dots]
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となり、157万画素が必要であることが確認できた。
同じような計算でA4は900万画素、A3は1400万画素となる。
画素数戦争は終わりを迎え、新たな指針が必要だ
自分の主な鑑賞手段はスマホやタブレット、PCなどのデジタル鑑賞である。となると前述の通り200万画素で事足りる。2000万画素の写真を200万画素であるフルHDのディスプレイで鑑賞するのは、F1カーで公道を走るのと同じくらい能力が制限される。
もう少し現実的な範囲でユーザーターゲットを広げ、デジタルは4K(800万画素)、印刷はA3(1400万画素)までとする。8Kが普及しているならまだしも、2019年現在ではどう考えても2000万画素以上あれば十分である。
となると画素数とは異なる指針が必要であるが、いずれのメーカーも新たな指針は生み出せていない。あるいはとっくに排気量を競わなくなった自動車のように多様な選択肢が生まれるのだろうか。『低燃費』のような新たな指針がカメラ業界でも必要だと思う。